生かされて
感想
生かされて 作者 イマキュレー イリバギザ
- 作者: イマキュレー・イリバギザスティーブ・アーウィン,堤江実
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 文庫
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まずは、作者のイマキュレーさんにこの本を書いたことに感謝をしたい。
辛い過去を思い出し本にすることは精神的に辛かったと思うが、この本のお陰で希望を見つけた人が沢山いるだろう。
想像を越える悲惨な状況で、家族を失ったにもかかわらず、キリスト教の信仰によって ”悪魔の声” から逃れ、心を汚さずに生きている彼女を知り、宗教というのはやはり人間に強い影響があるのだと感じた。
内容 (気になった点)
学校、ラジオ、噂。。。。情報源はいろいろあるが、人の心はいとも簡単に、プロパガンダで動かされ変わっていく。
本の中で、彼女が熱心に信仰している姿が書かれていた。神様に祈り、あんな残酷な状況に置かれていても、いつも自分は守られていると思う事ができた彼女の強さ。また、殺人者を憎むことなく、許す、という寛大な心を持てたのも彼女の熱心な信仰があったからだろう。そして、その後、国連で仕事がもらえたのも神様のおかげだと彼女は言う。強い祈りがあれば、神様は何でも与えてくれると言い、本の中では、実際にそういったことが起きたと書かれてあった。
日本での宗教
- 日本では宗教について語られることがすくないが、特に途上国では、ダーウィンの進化論を真っ向から否定し、神様が全てをつくったと主張する人が多い。日本では、理科の授業でならい、試験にも出たため、進化論を当たり前のように信じているので、この創造論に驚く人も多いが、実際には、アメリカですら、進化論を学校で教えない場合や、また、進化論を教えたことにより訴えられるケースもある。日本では、科学が重視され宗教の話が少ないが、もう一度、宗教のあり方について語り合ってもいいのではないでしょうか。この本を読み、宗教が人に与える強さについて深々と感じた。
悪魔の声
彼女は、何か残酷な考えが頭に浮かぶと、それを悪魔の声だと話した。そして、それを信仰によりもみ消し、大丈夫、明るい未来があると言い聞かせた。何か不安な事があれば、神様がいると信じ、そして、彼女がいた悲惨な環境でも、感謝の気持ちをいつも忘れなかった。
許すという事
彼女は、過激派フツ族を神の子だといい、彼らを許した。彼らは、悪魔にのっとられただけだと考え、彼女の心が憎しみや怒りで満たされることから逃れた。
清い心
彼女は、今でも夜は必ず信仰をすると書いてあった。きっとそれが、彼女を不安、憎しみ、怒りから守っているのだろう。あんな悲惨な状況にあったにも関わらず、感謝の気持ちを忘れず、神を信じ続け、清らかな心でいられた彼女から学ぶことは多い。
感想
この本のお陰で、人間の残酷さがよく分かった。また、情勢か一瞬で変わり、大悲劇になりうることも知った。あの時、川を渡って逃げていれば、あんんあ状況にのまれなかっただろうに。。。一つの判断で、人生が狂い、一生傷を負って生きていかないといけないということ。また、民族が違うというだけで、あんなにも簡単に人を殺してしまうということ。現実に起こると、想像も出来ないような事が起りうる。そして、今まで信頼していた人々が、仲の良かった友達が、プロパガンダでコロッと態度が変わり、強姦、暴力、殺人に走る。そんな中でも、彼女は感謝の気持ちを忘れず、信仰しつづけ、殺人者を許し、今も強く生きている。人間には、あの悲惨な状況を生き抜く強さがあると、教えてくれた大事な一冊。